美味しいキムチが食べたい、そんな思いがキムチ作りにはまって苦節十有余年。
渡韓すること多い時は年に10回、平均5〜6回。
得た知識を整理して見ると以下の如く極めて簡単な漬物である事がわかる。
簡単であるが故に旨味を引き出すのはこれまた難解な代物でもある。
主材料は白菜、だいこん、胡瓜その他韓国では色々な野菜を用いるがここでは白菜キムチを主に記述する又成分分析栄養価等については省略して旨味に絞って私流キムチの“うんちく”を紹介したいと思います。
 日本人は白菜にニンニクと唐辛子を入れたらキムチになると思っているが、
あながち間違いではないがこの時点ではキムチとは言えない。ここにもう一品加えたらそれはもう完璧なキムチである。それは「塩辛」である。
本場韓国ではここに色付、香り付けに生姜、葱、ニラ、芹、胡麻等を加え、昔の日本でもそうであった様に「味の素」、韓国では「味元(みをん)」グルタミン酸ソーダをたっぷり入れて和えると出来あがりである。日本の旅行者はこのたっぷりと使われたグルタミン酸ソーダを食べて韓国のキムチは美味しかったと言っている様に思える。
 本当のキムチ特有の旨味は韓国特有の塩辛にある。
ソウルではいしもちの塩辛、あみの塩辛を用いる、比較的あっさりさっぱり味。
プサンでは片口いわしの塩辛、太刀魚の塩辛、あみの塩辛を用いる濃厚な味。
日本のスーパーで売られている殆どは、この塩辛が使われていないのでキムチの味に深みがない。それではここに書かれた材料全部使ったら美味しいキムチが出来るか? Yes!立派な韓国味のキムチは完成ですが、美味しさは別。しかし必ずしも日本人のデリケートな味覚に合うものでは無いと思う。
我々日本人の味覚に合った美味しいキムチを作りたいそんな一念で試行錯誤の末にやっとほぼ満足できるものが出来たと思う。
 私流のキムチを紹介します。
 
(韓国の伝統と原則は厳格に踏襲する+日本の伝統の味)+a=私流キムチ    
これが私のキムチ方程式です。
韓国キムチの原則は忠実に守り、そこに日本人の味覚(旨味)を加えると言ういとも簡単な原理である。 
カッコ内の韓国の伝統原則は前述ソウル風、プサン風+日本の伝統の味とは鰹節 昆布煮干等+アルファーとはニラ、ねぎ、芹、ゴマ等である。
私はソウル風に仕上げるのが日本人の感性、味覚に最も近いと考えています。
「京つけもの風キムチ」これが目標です。
しかし、コクを出すために片口鰯の塩辛を使います。プサンではそのまま生を使いますが、煮出して漉す事によって生臭さを取り除き、こくがあってあっさりソウル風キムチの旨味の素が出来あがります。
あとは原則に従ってニンニク、唐辛子、生姜、ニラ等を加え日本の味鰹節 昆布 煮干
等を入れたらキムチのタレの出来あがりです。
塩漬け白菜にこのタレを和えたら完成です。  
 材料の中で唐辛子の存在と扱いは極めて重要です。辛味はキムチの命です。特に日本人のデリケートな味覚に合わせるのは至難の技です。辛過ぎては絶対に受入れられません(韓国では全く問題有りません)。辛味を押さえ唐辛子の量を減らすとキムチ独特の
食欲をそそる真っ赤な色が消えうせ唐辛子の香りも無くなり気の抜けたキムチもどきになってしまいます。
日本 中国 メキシコ モンゴル各国のものを使って見ましたが韓国産が最高です。
特に韓国慶尚北道英陽産(ヨンヤン)、安東産(あんどん)全羅道湖南産が最高級品です。
偽物を何遍も掴まされたので現在は生産農家と契約栽培をしている。
現在韓国では韓国産が高価なため一部富裕層を除いて安価な中国産が使われています。
中国産は味香り共に韓国産と比較すると相当見劣りします。しかし価格は三分の一ぐらいである。日本でも量販店の物は味、価格から察するに中国産唐辛子使用と思われる。



1、発酵を如何にスローダウンさせ賞味期間を延ばすか
日本人は酸っぱくなった漬物は食べない(韓国ではむしろ発酵(乳酸発酵)させてすっぱくして食べる、その為かスーパーで売られている輸入キムチは殆どが酸っぱくなっている)酸化防止剤、防腐剤等の極めて有害な添加物は使わずに延命方法を考えなければならない(我が社は一切使用しない)。
2、辛味を如何に意図する辛さに安定させるか
気候風土によって辛さや色が左右される大変厄介な産物です。
意図する辛さを一定にすることには本当に苦心します。
気の趣くままに述べましたがこれで良しとは思いません、もっともっと食べ歩き 考え 悩み 苦しみ 楽しみながらキムチにこだわり続ける積もりです。


2002年3月            
                         工場長  金 久 吉


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